「組織の成功循環モデル」
表題は当法人のミッションです。組織力を高めるためにはどうしたらいいか、経営者や管理職等、人をマネジメントする方において悩ましい課題であると思ます。人の集合体である組織がパワーを発揮するためには、個々の能力を高めるだけではなく、その個々が融合することで相乗効果を出せる環境作りが必要との思いです。組織として機能しプラスアルファの成果を出すのは、同じ組織内の人と人との良好な関係性を作ることがやはり必要です。ある時、「組織の成功循環モデル」(マサチューセッツ工科大学 ダニエル・キム教授)という理論に触れることができました。組織にはBad CycleとGood Cycleという循環があり、問題解決の起点を何から始めるかによって負のスパイラルになるか、それとも正のスパイラルになるか大きく変わってくるというものであるという考え方です。(下図参照)
この理論を見たときに自身の経験から、「その通り!」と実感したのです。まずBad Cycleに陥る組織は、問題解決の起点を「①結果の質」に求めているとの指摘であります。管理者が言わば個人の責任に言及してしまうのです。もちろん当人にも経験値が不足していたり、凡ミスがあったりすることもあり自身に責任の所在はあるでしょう。結果に対して個人に責任の所在を一方的に押し付けることは簡単なのですが、そうなるとマイナス思考が働き、当人も委縮し結果に対する評価がすべて自分のせいだとの認識に陥いる。逆に反抗的になり、上司や同僚等の環境のせいにしてしまい自省の念がなくなってしまう等に陥ります。やがてBad Cycleの「①結果の質」が起点になり負のスパイラルが始まるというのです。ではどう対処すべきでしょうか。恐らく一つの解はこうだと思っています。つまり結果を受け止める。つまり「許す」です。ここは堪えて、なぜ結果がでなかったのか、自身のマネジメントについて問題なかったのか、視点を変えて自問自答することが肝要です。例えば仕事の与え方悪かった、相談する雰囲気を作ってなかった、未然に防ぐための手立てが出来ていなかった等です。つまりGood Cycleの「①関係性の質」に思いをはせるわけです。「成果がでない真の理由は何なのか。。。」ちょっとした違いだと思います。しかし結果は大きく変わると言います。人は感情の生き物と言われています。人には人それぞれの感情がありコントロールするのは難しいことではあります。ただ自身をGood Cycleに導くように感情のコントロールすることができたらと思います。
感情のマネジメント
ディープ・アクティングという言葉をご存知でしょうか。これは私の必読書「世界標準の経営理論」(著者 入山章栄氏(早稲田大学大学院教授)ダイヤモンド社)の一節で「感情の理論」になかに記載があります。本書から引用すると、「ディープ・アクティングとは、人が何かの外部刺激に直面した時に、「まず自分の意識・注意・視点の方向性を変化させることで、感情そのものを自分が表現したい方向に変化させてから、それに合わせて自然に感情表現する」ことを指す」とあります。前述の例に戻りますが、経営者や管理職は、人や組織のマネジメントにおいて、組織を活性化するようなマネジメントをしたいと願っているはずです。それにはGood Cycleの「①関係性の質」に視点がいくよう、自身の感情をコントロール、つまりディープ・アクティングできるようになることなんだろうと思います。本書では日常的に「多角的な視点」「広い視点」「他者視点」を持つことが重要であると示唆しています。
まとめ
強い組織を作るには、マネジメントに関わる人の言動が大きく影響します。組織の大小といった規模は関係ありません。「個性」とか「価値観の多様性」とか言われて久しいですが、人の気持ちを感じ取り、理解し、自身の視点を変えることで感情をマネジメントして行動する。管理者に求めれている思考ではないでしょうか。