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2021.06.01

モチベーションを高めるには

1.人事ポリシーについて

 ビジネスにおいて何を行うにおいてもポリシー(目的を遂行するための方針や指針)は必要であると思います。なにか行動を起こすときに、「なぜそうしたのか」があると説得力が生まれます。しかしそれがないまま「なぞそうしたのか」を聞かれたときにあまり深みのない回答だとその行動に重みがなくなります。そしてなにか骨抜きになってしまい、意味のない行動と捉えられてしまうなんてことになりかねません。

 さて人事においてポリシーを定めることは絶対必要であると思います。しかし人事に対するポリシーを明文化している企業は多くないです。この人事異動の意図はなんなのか、なぜこういう評価なのか、なぜ給与はこの額なのかなど、この素朴とも見える根本的な疑問には、人事ポリシーがあればすべて説明ができ理解が進みます。

 従って人事制度設計等を構築する場合にもし人事ポリシーがなければ、明文化して共有することは重要であると思います。これはただ単に決めるのではなく、少し時間をかけてでも腑に落ちるものにすることです。これは後々の人事の意思決定に効いてきます。

 経営者が意思決定の際に大事にしているポリシーは何なのか。また企業独自の伝統や風土からくる暗黙知のポリシーも存在すると思います。語り継がれるエピソードから何かヒントがあるかもしれません。もちろん変えるべきものと、不変のものがあり、新たに付け加えるなど、その辺は議論をし明文化して共通認識を持ちたいものです。

 ここでいう人事ポリシーを簡潔にいうと「人や組織に向かう基本姿勢」であります。

2.トータル・リワードという考え方

 トータル・リワードとは、報酬には「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」とがあり、報酬を総合的な視点から捉え、社員に高いモチベーションを与えようとするものです。そしてバランスよく配分する必要があると思います。

 簡単に金銭的報酬を「給料」とし、非金銭的報酬を「環境」に置き換えてみました。(図表1)貴社はどこに当てはまるでしょうか。経営者によっては右下の△が良いというかもしれません。しかし右上の〇の位置を目指すべきと考えます。また少なくとも✕の象限にあるという企業は早晩経営が厳しくなるので脱却を模索しましょう。

 また✕象限から〇へは3つのルートがありますがやはり最短ルート(赤い矢印)を目指すべきと思います。

(図表1:金銭的報酬と「非金銭的報酬」のマトリクス)

3.モチベーションを理解する

 さて社員のモチベーションを上げ続けるために、人事担当者はどうあるべきでしょうか。まずベースの姿勢として「一貫性」「公平性」「メリハリ」等のキーワードが頭に浮かびます。人事を担当していたころは自分なりのこの3つのキーワードを意識して実務を行っていました。人事は社員からある意味気になる存在であり注目もされています。言わば体制派なので言動には注意をしていました。

 ではモチベーションを上げるのには具体的に何をしたらいいでしょうか。その内容は、千差万別で企業各々の風土によってやる内容は自ずと異なると思います。

 あらためてモチベーションを定義すると次のようになります。「 何かをしようとする意志、欲求を満たそうとする意志」とあります。つまり行動や目標に向かう段階で培われるものであり、そしてこのモチベーションには2種類あると言われています。(出典:リクルートマネジメントソリューションズHPより)

 一つは「内発的動機付け」です。これは「内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機づけられている状態のこと。動機づけの要因は金銭や食べ物、名誉など、外から与えられる外的報酬に基づかないものを指す。社会心理学者のデジによれば、内発的動機付けには有能感と自己決定感が強く影響するという。つまり人は、仕事をする中で「能力を発揮できている」という感覚がある時、また、「自分自身で目的を定め、計画を立て、実行している」という感覚があるときに、内発的動機を得やすいといえる」とあります。

 もう一つは「外発的動機付け」です。これは「外発的動機付けは行動の要因が評価・賞罰・強制などの人為的な刺激によるものであるという考え方。一般的には、外発的動機付けの効果は一時的であり、人格的成長には必ずしもつながらないという見解があるが、外発的動機付けによって行動をしているうちに、次第に興味・関心が生まれ内発的動機付けへと変化していくこともあると言われる。」とあります。

 「内発的動機付け」と「外発的動機付け」とを効果的に組み合わせ組織にシナジーをおこす、このことこそが人事の腕の見せどころではないだろうか。

(図表2:動機付けの施策等)

3.まとめ

 「人は感情のある生き物」です。だからモチベーションも上がったり下がったりします。しかし気を付けたいのは、致命的に下がることです。ただこれは一気にさがるわけではありません。一度下がってもまたしばらくすると戻るからです。ただ繰り返し下がるような出来事が積み重なると、緊張の糸がきれます。そして組織を離脱する等のことになるわけです。この過程にいる人に如何に早く気づいて声をかけるかが(或いは管理職に気付かせる)人事の一つの役割であると思います。これを放置しておくと連鎖して離職率が高まり組織がおかしくなります。

 モチベーションを維持することは大変難しいことです。しかし人事ポリシーを原理原則として的確な施策を講じていけば良い結果に繋がると思っています。

 

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