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2022.03.15

要員計画とは ~「不確実」を「確実」に近づける~

1.要員計画とは

 要員計画とはまさしく、その時々における人材の適所適材を実現するためのプランであります。タイムリーにかつ適切な質と量の人材が提供されている状態にするためのものとなります。そしてそのタームは3年から5年、長くは10年程度であり、都度ローリングしながら見直していくことになるでしょう。また経営計画とリンクしますが、そのタームが長ければ長いほど精度は落ちることになります。

 例えば5年の中期経営計画を立てたとします。5年後に必要となる人材の質と量を設定する。既存事業の要員、新規事業の要員、機能別部門の要員等、各々の事業等における要員言わば人材ポートフォリオを検討します。そして現状の人材ポートフォリオとのギャップを把握し、バックキャスト(未来の姿から逆算して現在の施策を考える)することで、その差を埋める人材の採用や育成を現時点から始めることとなります。これが要員計画の概要です。

 しかしながら経営計画もそうであるように様々な要因からなかなか目標通りに進まないことが多いのではないかと思います。またこれは本来人材の確保は先行投資なのですが、人件費や教育費は費用としてみられがちであり、短期の業績によって左右されやすく頓挫することもままあると思います。財布は分けて考慮する必要もあるし、常に変更が考えられ柔軟に取り組むことかと思います。

2.不確実な要員計画

 ビジネスを取り巻く環境や自社の業績の進捗などから当初の要員計画が良好に進捗することはなかなかないと思います。一方で考え方として必要な人員は抑えながら増やしていくのか、それとも先行してバッファーを持ちながら増員していくのかは、戦力となる人材の確保や育成の時間軸によるかと思います。時間軸が比較的短いのであれば、業績と人員の関係においては人員の確保はビハインドしながら、つまり後追いでも良いと思います。また長いのであれば、やはりやや先行して人員の確保をするのがよいでしょう。従いまして人員の確保のマイルストーンをどの辺に置くかあらかじめ方針を決めることも必要となってきます。

 一方で計画に方向転換等があった場合に既に確保した人員を社内の別の機能等へ異動させることはなかなか難しいと思いますが、意識しておく必要があると思います。ある一定の基礎力のある人材として、言わば最大公約数となるタレントはプールしておき、リスキリングするという発想も必要かと思います。

3.まとめ

 要員計画を作成することは不確実ではあるもののやはり必要となります。但し常に変更が伴うことを念頭に置くことです。要は未来の姿がどれだけ明確に見えているのかで大分その精度は変わると思います。業態やこれまでのノウハウの蓄積などにより見え方に差異はあるでしょうし、B to BとB to Cの間においても同様でしょう。既存ビジネスがどの程度伸びるのか、新規事業においてもどの程度見込まれるのかは、人事としてはある意味出たとこ勝負というような意識も必要であるとも思います。そういう意味では、中途採用による人材のジャストインタイムが良いのかとも思いますが、そのためには魅力的な企業に磨き上げること、言わば「急がば回れ」の人事施策がより効果的かとも思います。

 以前ですがある企業の人事部長をしていた時のことです。中期経営計画の策定において要員計画に関わりましたが振り返ると未来の姿があまり明確になっていなかったとも思います。併せて中途採用や新卒採用そして教育も進めましたが、離職も多く補充に追われなかなか思うように要員計画が進みませんでした。この時に働く環境としての企業のブランド価値を高めることが結果として採用力をつけ優秀な戦力の確保と維持が可能になり、様々な環境変化に対応できるのだとも感じた次第です。

 さて要員計画はその精度を高め計画に沿って実行することはとても難易度が高いですが、一方でビジネスと人員を継続してウォッチするためにも必要な施策であると考えます。

■要員計画(人材ポートフォリオ)の策定手順(参考)

1.未来の姿の設定:中期経営計画の達成に向け、各事業や機能等で必要となる人材像及び人的資源の配置状況(ポジションや役割)等の人材ポートフォリオの策定

2.現在の姿の確認:1で策定した人材ポートフォリオに基づき、現状を分析(人材の質・量の課題の洗出し)

3.要員計画のマイルストーンの設定:経過年ごとの人材ポートフォリオのマイルストーンの設定および進捗管理

4.要員計画を達成するための各種人事施策の導入:人事制度等各種施策の方向性及びロードマップの策定。未来の人材ポートフォリオの達成に向けた計画の見直し等

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